東京都庭園美術館「旅と想像 / 創造 いつかあなたの旅になる」
旅に出たい。ここではないどこかへ行きたい。移動の自由が制限された2年半、世界中の人々が旅を諦めました。この期間中に旅への想いが募り、自分の中の旅願望に気付いた人も少なくないでしょう。いったい旅とはいかなるものなのでしょう。
本展はこうした問いの行方を、他者の旅を手がかりに、再考するための “ 旅のアンソロジー ” です。イントロダクションとなるのは、庭園美術館の本館建築に大きな影響を与えた朝香宮夫妻の100年前の欧州旅行です。1920年代の旅風景を美術工芸品と資料によって描き出します。それに続き、ある個人コレクターの鉄道資料蒐集の旅、そして現代アーティストたちによる旧朝香宮邸をめぐる作品を、建築空間を生かしたインスタレーションによって紹介します。それぞれの旅に潜む物語は、もはや旅が旅人だけのものではなく、受け取る側のあなたと共有され、想像の中で経験されることを待っていると言えるでしょう。
だれかの旅は、“ いつかわたしの旅になる ” 。展覧会で出会う旅が、想像を膨らませるきっかけとなり、あなたの新しい旅を切り開く第一歩になりますように。Photo by Sean Hazen
〈出展作家〉相川勝 / 栗田宏一 / さわひらき / 福田尚代 / 宮永愛子 / evala / カッサンドル / 髙田賢三 他