ART + DESIGN
DAIFUJIWARA DESIGN INC.

Hi Miura Project / 小屋からはじめる “先端プロジェクト”

このたび、日立製作所研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタービジョンデザインプロジェクトは、 社会性の高いデザイン活動を幅広く行うデザイナー藤原大をクリエイティブディレクターに迎え、日立製作所が 行っているヒューマニティーな社会システムを目指したアートプロジェクト Hi Miura Project ( ハイ ! 三浦 ) を 立ち上げました。

関連サイト : Casa BRUTUS 記事 https://casabrutus.com/food/134013

日立製作所研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタビジョンデザインプロジェクト
ビジョンデザインは、日立が社会イノベーション事業を掲げたのを受けて 2010 年、当時のデザイン本部の「新しい 社会システムのビジョンを描くのはデザインの役割である」という思いから始まりました。問題設定とその解決に 挑む創造的な態度 – デザイン思考の実践や、サービスデザインの方法論を日立グループやパートナーの方々に 広めていく活動を通じて、さまざまなエンジニアリング領域の研究所と融合し、2015年、社会イノベーション 協創センタが誕生しました。そして、2016 年に日本の内閣府が発表した Society 5.0 のコンセプトのもつ本質に 共感するとともに、技術が人をリードするのではなく、より地域やそこに暮す人びとにフォーカスした社会システムの あり方を示す必要があると考え、この考えに基づき、目的を再設定して立ち上げたのが、現在のビジョンデザイン活動です。

藤原 大
1967 年東京生まれ。中央美術学院国画系山水画科(北京)留学後、多摩美術大学卒業。2008 年(株)DAI FUJIWARA を設立コーポレイト(一般企業、法人団体)、アカデミック(教育分野)、リージョナル(地域活動)の 3 つのエリアをフィールドに捉え、多岐にわたる創作活動は世界から高い評価を受けている。国内外での講演や プロジェクトなど多数。多摩美術大学教授、金沢美術工芸大学名誉客員教授。

プロジェクト概要
これまで日立は、私たちの生活を支える広く大きなしくみをつくってきました。しかし、世界に無数存在する 地域社会は小さくとも大きな力を秘めていると考えています。これらが発展するには、地域の活動に思いを 寄せた新たなしくみを生み出すことが不可欠ととらえ、日立はクリエイティブディレクター藤原大のディレ クションのもと、神奈川県・三浦市を拠点に三浦市と地域が抱える社会課題の解決に向けて、地域の方々と 共に活動を進め、今後の地域経済への貢献につながる発展的な協創を目指す活動をスタートさせました。 それが Hi Miura Project です。このプロジェクトでは、三浦市でこれからの農業に挑むひとりの経営者と出会いから 誕生し、野菜販売所での決済の際に、野菜を作った人と買う人が交わす「双方の思い」によりその場で価格が 変化する新しいコミュニケーションのモデル ( 実験機 ) を日立が開発。このモデル ( 実験機 ) は、2019 年 11 月より現在、三浦市の野菜販売所 ( 石井農園 /PEEKABOO) にて稼働し、野菜を作る人の「心」とデジタル コミュニケーションが体感できます。また、” 地域から未来を考える” ことを発展・共有 することを目的とし、 市民や教育期間、行政や企業、アーティストらが集まり、半島の先端にある ( 三浦 / 房総 ) 地域をケース に捉え、 主に野菜の無人販売小屋と地域空間の発展的な創作を通じて社会の課題解決を目的にしたデザインプラット ホーム “koyart(コヤート)” もスタートさせました。以降さまざまな機会を通じてこのプロジェクトが ご覧いただけるよう企画を検討していきます。

アートが生み出す新しいコミュニケーション
三浦市の野菜販売所 ( 石井農園 /PEEKABOO) との出会いを通じ、何度も三浦の現状や課題、そして将来への 思いを聞くなか創り出されたのは、野菜販売所に設置する決済システムにさまざまなアイデアを加えて、ワクワク させてしまおうという新しいコミュニケーションのモデル ( 実験機 ) の設置です。野菜販売所で旬な野菜を選び、 設置してあるタブレット端末に、価格を入力し清算するのですが、端末の脇に置かれたさまざまな言葉が書かれた 模型をタブレットの設置台に配置することで、選んだ感情の言葉や意見を反映した新たな価格で清算することが できます。例えば「いつとれた野菜ですか?」という模型を配置すると、画面には「今日の朝取れたものを並べる ように努力しています」といったメッセージが表示され、「8 円まけとくよ」と価格が値引きされます。また、
「10 倍の値段で買います」という模型を配置すると、「100 円だけ頂いて三浦のために使わせて頂きます」と メッセージが表示され、100 円が増えた価格になります。無人の野菜販売所ながら、決済にひと手間加えることで、 生産者の思いと消費者の想像力が交差し、そこから新たなコミュニケーションが生まれ、ここで誕生したひとつの「場」が、ほかの「場」へと繋がり広がっていくことで、「未来の街づくり」に発展していくことを期待しています。